神に選ばれなかった者達 後編

「かなり頑丈な造りになっているようだな」

と言って、響也さんは錐で何度もガラスを叩いた。

的確に、同じ場所を何度も。

そして、何度目かの挑戦で、ようやくピシッとヒビが入った。

響也さんでさえ、錐で何度も突かなきゃ壊せないのに…。

へっぴり腰の私が、丸椅子で殴ったくらいで壊せるはずもなく。

…その間にも、萌音さんは。

「よいしょーっと」

丸椅子を振り上げては、軽々と保育器を粉砕していった。

…圧巻。

「萌音は剛力…いや、怪力だからな。ここは萌音に任せといてくれ」

と、李優さんが言った。

…。

…萌音さんだけに任せたくないから、私も頑張ろうと思ったのに…。

…でも、ここは素直に萌音さんに任せておいた方が良いのかもしれない。

私、非力過ぎる。

「…良かったらこの拳銃、使うか?」

気を遣った李優さんが、強力な拳銃を貸してくれようとした。

それは有り難い気遣いなのだけど。

私がそれもらっちゃうと、李優さんの武器がなくなっちゃう。

それに。

「それは李優さんが手に入れたものですから…。私がもらう訳にはいきません」

「…そうか…」

李優さんと萌音さんが、命懸けで敵から奪ったものでしょう?

なら、私がそれを借りる訳にはいかない。

…仕方がない。

「この後…この後は頑張ろう。ね、みらくさん」

「う、うん。のぞみちゃん」

私達が倒さなきゃいけないのは、保育器の中の赤ん坊だけじゃない。

まだいるのだ。蠱毒の壺に入れられた、子供達が。