神に選ばれなかった者達 後編

…あれから、何年の時が経っただろう。

未だに私達は、歪んだ間柄の兄妹を続けている。

お兄ちゃんは、私を本当の妹のように可愛がってくれている。

だから私も、お兄ちゃんのことを本当のお兄ちゃんのように慕っている。

もう、本当の「空音のぞみ」のことは考えない。

空音のぞみは、この私だ。

お兄ちゃんがそうしてくれた。

だから私は、自分の運命を受け入れる。

空音のぞみは幸せ者だ。

何をか不満があろうか。

こんなに大切にしてもらって、こんなに愛してもらって…。

…それは、とても有り難いのだけど。

…有り難いのだけど…。

お兄ちゃんの過保護には、いささか辟易することがある。






響也さんとみらくさん、それから萌音さんと李優さんの4人と合流した、その翌夜。

「よーし。バケモノ退治しよーっと」

いつも通り、萌音さんは張り切っていた。

今夜はいよいよ、この二階のフロアに巣食うバケモノ達を一網打尽にする。

…予定なのだが。

「いそら、のぞみ。赤ん坊が並んでた部屋ってのは何処だ?案内してくれるか」

「うん、分かった」

李優さんの頼みに、お兄ちゃんが頷き。

私達は、仲間を連れて例の部屋に…。

生まれたばかりの赤ん坊が並ぶ、保育器の部屋に連れて行った。

…何度見ても、やっぱりグロテスクだね。

赤ん坊達はいくつもの管に繋がれて、保育器の中で蠢いていた。

とても…人間の赤ん坊には見えない。

「うっ…」

その気味悪さに、思わずみらくさんは吐き気を堪えているようだった。

…そうよね。そうなるわよね。

私は貧民街育ちで、あらゆる残酷なものを見慣れているけれど。

みらくさんにとっては…気味が悪くて仕方ないだろう。

無理もない。

…しかし。

「よし。じゃあ殺そう」

萌音さんは、何の躊躇いもなく。

くるりと、相棒の李優さんに振り向いて頼んだ。

「李優、この部屋の鍵、壊してくれる?」

「え?」

「拳銃。鍵に向かって撃ったら壊せるでしょ」

「あ、あぁ。…やってみるか」

李優さんは、地下で手に入れたという拳銃を、部屋の扉に向かって発砲した。

拳銃とは思えない、ヒュッ、という不思議な発砲音が鳴って。

思惑通り、一発で鍵を破壊した。

…凄い破壊力だ。

敵が持っていたら脅威でしかないけど、それだけに、こちらが同じ武器を手にすると非常に心強い。