神に選ばれなかった者達 後編

放課後。家に帰るなり。

私は、震える手で『処刑場』を起動した。

そして、ようやく返信を書き込んだ。

『M・Y∶みらくです。

M・Y∶長い間返信しなくてごめんなさい』

私が書き込むと、すぐに返信が来た。

佐乱李優さんだった。

『天使ちゃん∶良かった!無事だったんだな。

天使ちゃん∶大丈夫か?』

…それはどういう意味の「大丈夫か?」なのか。

生きているかという意味か、それとも悪夢の中での…。

すると。

『天使ちゃん∶響也は?』

その名前を見て、私はドキンとした。

絶対に聞かれると思っていた。

…当然だよね。当然の疑問だよね…。

…なんて答えたら良いのか。

響也くんは、私の為にずっと…毎晩…何度も死んでくれてます、って言えば良いの?

…答えない訳にはいかなかった。

『M・Y∶響也くんは、分からない

天使ちゃん∶分からないってどういうことだ?

M・Y∶何が起こってるか分からないの。響也くんは、毎晩…』

私は、夢の中で毎日何が起こっているのかを、掲示板で説明した。

毎晩、響也くんは手術台の上で、死に戻りを繰り返していることを。

これが一体どういう現象なのか、先輩である李優くんなら分かるかもしれないと思った。

…でも。

『M・Y∶李優くん、これがどういうことか分かる?

天使ちゃん∶ごめん。俺にも分からない』

…そう、なんだ。

李優くんでさえ…分からないんだ。

『天使ちゃん∶俺は長いこと生贄をやってるが、そんなことは初めてだ。

天使ちゃん∶それじゃ、響也は今、逃げることも戦うことも出来ないっていう状況なのか?

M・Y∶そうなの。』

響也くんは今、何の抵抗も出来ないまま、毎晩のようにずっと殺され続けている。

『天使ちゃん∶それが本当なら、相当不味い状態だな』

…えっ…。

『M・Y∶何がどう不味いの?教えて

天使ちゃん∶夢の中での死は、現実を侵食するからだ。』

…侵食。

それは、私達生贄にとって恐怖だった。

『天使ちゃん∶そんなに何度も死に続けてるなら、相当現実を侵食されているらずだ。

天使ちゃん∶響也がまだ正気を守っているかどうか』

「…そんな…」

私は李優くんの言葉に、酷く打ちのめされた。

もう…正気を失うくらい現実を侵食されてるの?

響也くんが一切『処刑場』の掲示板に現れないのも、それが理由なの?

響也くんは…今、どうなっているの?