「…」
お兄ちゃんは、無言で鉄パイプを強く握り締めた。
私は怯え、恐怖した。
裁きの時だ。
居心地の良さに甘え続けた、その報いを受ける時がやって来たのだ。
よくも騙してくれたな、と。
よくも妹ヅラして、これまで自分にタカってくれたな、と。
でも、これは当然の報いだった。
これまで私はずっと、お兄ちゃんに甘え続けてきたのだから。
あの時、あのごみ捨て場で終わりだったはずの命なのに。
その生命を拾って、ここまで生き永らえさせてもらったのだから。もう充分だった。
他でもないお兄ちゃんの手で裁かれるのら、本望というものだろう…。
強く鉄パイプを握ったお兄ちゃんは、つかつかとこちらに歩み寄り。
そして、その鉄パイプを高く振り上げた。
「…っ…!」
その鉄パイプが、私の身体に振り下ろされる瞬間。
私は反射的に、ぎゅっと固く目を瞑った。
…しかし。
グジャッ、という音がして、鉄パイプが叩き割ったのは。
私ではなく。
「ギァァァァァ!!」
「…!?」
私は、思わず自分の目を疑った。
あろうことか、断罪の鉄パイプが本物の「空音のぞみ」に…。
人面犬の頭に、めり込むようにして振り下ろされていた。
血と脳みその欠片が宙を舞い、お兄ちゃんの身体に降り掛かったが。
お兄ちゃんは無表情なまま、少しも動揺していなかった。
な…。
…なん、で?
「お、おにい、ちゃん…?」
「…」
お兄ちゃんは無言で、再び鉄パイプを振り上げ。
またしても、「空音のぞみ」を殴り続けた。
何で。何をやってるの、お兄ちゃん。
「お兄ちゃん…。…お兄ちゃん!」
「…」
「だ、駄目だよ。その子は…その子は本物の…」
「…本物の、何?」
…えっ?
「本物の何だって言うの?」
「そ…それは…」
言いたくなかった。
この期に及んで、私はまだ、言えなかった。
「私はあなたの妹じゃない」なんて。
「これまでずっと、あなたを騙していました」なんて…。
自分が卑怯なのは分かっている。
だけど、私はそれでも…どうしても…。
…すると。
「お、おぉぉ…にぃ…ちゃ…」
…!?
鉄パイプで頭を潰された人面犬が、必死に何かを訴えていた。
お兄ちゃんは、無言で鉄パイプを強く握り締めた。
私は怯え、恐怖した。
裁きの時だ。
居心地の良さに甘え続けた、その報いを受ける時がやって来たのだ。
よくも騙してくれたな、と。
よくも妹ヅラして、これまで自分にタカってくれたな、と。
でも、これは当然の報いだった。
これまで私はずっと、お兄ちゃんに甘え続けてきたのだから。
あの時、あのごみ捨て場で終わりだったはずの命なのに。
その生命を拾って、ここまで生き永らえさせてもらったのだから。もう充分だった。
他でもないお兄ちゃんの手で裁かれるのら、本望というものだろう…。
強く鉄パイプを握ったお兄ちゃんは、つかつかとこちらに歩み寄り。
そして、その鉄パイプを高く振り上げた。
「…っ…!」
その鉄パイプが、私の身体に振り下ろされる瞬間。
私は反射的に、ぎゅっと固く目を瞑った。
…しかし。
グジャッ、という音がして、鉄パイプが叩き割ったのは。
私ではなく。
「ギァァァァァ!!」
「…!?」
私は、思わず自分の目を疑った。
あろうことか、断罪の鉄パイプが本物の「空音のぞみ」に…。
人面犬の頭に、めり込むようにして振り下ろされていた。
血と脳みその欠片が宙を舞い、お兄ちゃんの身体に降り掛かったが。
お兄ちゃんは無表情なまま、少しも動揺していなかった。
な…。
…なん、で?
「お、おにい、ちゃん…?」
「…」
お兄ちゃんは無言で、再び鉄パイプを振り上げ。
またしても、「空音のぞみ」を殴り続けた。
何で。何をやってるの、お兄ちゃん。
「お兄ちゃん…。…お兄ちゃん!」
「…」
「だ、駄目だよ。その子は…その子は本物の…」
「…本物の、何?」
…えっ?
「本物の何だって言うの?」
「そ…それは…」
言いたくなかった。
この期に及んで、私はまだ、言えなかった。
「私はあなたの妹じゃない」なんて。
「これまでずっと、あなたを騙していました」なんて…。
自分が卑怯なのは分かっている。
だけど、私はそれでも…どうしても…。
…すると。
「お、おぉぉ…にぃ…ちゃ…」
…!?
鉄パイプで頭を潰された人面犬が、必死に何かを訴えていた。


