神に選ばれなかった者達 後編

新しいのぞみを得てから、僕は本物ののぞみのことを忘れてしまっていた。

忘れてしまっていたことに気づいたのは、その夢の中で、死んだ妹と同じ顔をした人面犬に出会ったからだ。

その時になってようやく、僕は思い出した。

…そうだ。今ののぞみは偽者ののぞみなんだ。

本物ののぞみは…もう、とっくに…この世にはいなかった。

僕の本当の妹は…ここに…この夢の中にいたんだ…。

都合良く改ざんし、記憶から抹消していた本物の家族を前にして。

僕は、遠い場所に置き去りにしてきた忘れ物を、目の前に届けられたような気がした。

ごめん…。忘れてて。

寂しかったよね…。一人で、辛かったよね。

置き去りにして…本当にごめんね。

「…のぞみ…」

例え犬の身体をしていても、それは僕にとってのぞみだった。

記憶の中に忘れてきた、たった一人の、本物の妹…。