神に選ばれなかった者達 後編

のぞみが死んでしまった。

僕の人生の、唯一の希望が。

それはつまり、僕に生きる望みがなくなったということだった。

肉親である母親を、自分の手で殺し。

そうまでして必死に守った、唯一の兄妹だったのぞみも死んだ。

僕はもう一人だ。

…生きていても仕方がない。

僕は虚ろな目をして、一人で、ふらふらと貧民街の路地裏を歩いて彷徨っていた。

一体何時間、何日彷徨っていただろう。

やがて、膝から力が抜けて、その場に崩れ落ちるように倒れた。

栄養不足だったのか、それとも単に脱水症状か…。

よく覚えていないが、生きる希望を失った僕にとっては、どうでも良いことだった。

立ち上がろう、という気さえ起きなかった。

このまま立ち上がらなかったら、僕はこの場で野垂れ死にするだろう。

だけど、それが何だと言うのか。

どうでも良い。

仮にこの場で死んでしまったとしても、何の後悔もなかっただろう。

のぞみのところに行ける。

あの子を一人で死なせるのは可哀想だ。

行き倒れなんて、この貧民街じゃ珍しいことではない。

僕も…このまま…のぞみの後を追って…。

全てを諦めて、目を閉じてしまおうとした…。




…その時だった。

…僕の耳に、小さな、か細い泣き声が聞こえてきた。

「…?」

その声が、死んだはずののぞみの声に聞こえて。

僕は目を閉じるのをやめて、再び、立ち上がって歩き出した。

あの小さな泣き声が、僕をこの世に引き留めてくれたのだ。