本物ののぞみって何だ、と思っただろう?
本物ののぞみというのは、その名の通り、本物ののぞみのことだ。
じゃあ偽者ののぞみがいるのか?
その通り。偽者ののぞみがいるのだ。
もっと分かりやすく言うと、今、僕と一緒に現実で一緒に暮らしているのぞみ。
そののぞみが、偽者なのだ。
僕自身…その悪夢の中で、人面犬の顔をした本物の「のぞみ」を見るまで、無意識に忘れていた。
僕の、本当の妹。
僕が一番大切な…僕の希望…僕ののぞみは、死んだのだ。
もう生きてはいない。
あの子は、結局…僕が母親を撲殺した数日後に、僕の腕の中で息絶えた。
折角人買いから逃げ伸びることが出来たのに、あの子は病気に勝てなかった。
ひときわ寒かった夜の明け方に、冷たくなっていた。
けれど、僕はのぞみが死んだことに気づいていなかった。
何処にも行かず、何もせず、ひたすらずっとのぞみを腕の中に抱いていた。
のぞみはもう何も言わず、ずっと目を閉じていた。
僕の腕の中で、のぞみの身体は徐々に体温を失っていった。
冷たくなったのぞみの身体を、僕はぼんやりと抱いていた。
多分誰に止められたとしても、決して離さなかったはずだ。
体温を失い、冷たくなったのぞみは、時間が経つにつれて腐敗していった。
それでも、僕はのぞみを離さなかった。
のぞみの身体が朽ち果て、原型を留めず、耐え難いほどの異臭を放っていた。
それでも…それでも僕は、のぞみを抱いたまま離さなかった。
だって、それはのぞみだから。
死んだとしても、原型を留めないほどに腐っても…のぞみはのぞみだ。
僕の一番大切な…僕の希望なのだ。
この子から手を離してしまったら、僕は希望を失ってしまう…。
誰にも希望を奪わせはしない。
…しかし。
僕がどんなに、必死にのぞみの亡骸を抱き続けていても。
それは、結局亡骸でしかなかった。
朽ち果てたのぞみの身体には虫が湧き、異臭を放つドロドロの体液が身体中から漏れていた。
最早、それを抱き続けることは出来なかった。
貧民街に、まともなお墓なんてない。
母の遺骸だって、野良犬やカラスに食べられてしまったのに。
埋める場所もなく、かと言ってのぞみの身体を捨てることも出来ず。
僕は虚ろな目をして、ぼんやりと、変わり果てたのぞみを見つめていた。
多分、僕も無意識の間に失神していたのだろう。
気がつくと、ぐちゃぐちゃに溶けたのぞみの亡骸がなくなっていた。
僕の意識がなくなっているうちに、野良犬やカラスが持っていってしまったのか。
腐り果てた遺骸を見て、誰かが感染症を恐れて連れて行ったのか…。
だが、そんなことはどうでも良い。
大事なのは、僕にとって希望が失われたということだった。
本物ののぞみというのは、その名の通り、本物ののぞみのことだ。
じゃあ偽者ののぞみがいるのか?
その通り。偽者ののぞみがいるのだ。
もっと分かりやすく言うと、今、僕と一緒に現実で一緒に暮らしているのぞみ。
そののぞみが、偽者なのだ。
僕自身…その悪夢の中で、人面犬の顔をした本物の「のぞみ」を見るまで、無意識に忘れていた。
僕の、本当の妹。
僕が一番大切な…僕の希望…僕ののぞみは、死んだのだ。
もう生きてはいない。
あの子は、結局…僕が母親を撲殺した数日後に、僕の腕の中で息絶えた。
折角人買いから逃げ伸びることが出来たのに、あの子は病気に勝てなかった。
ひときわ寒かった夜の明け方に、冷たくなっていた。
けれど、僕はのぞみが死んだことに気づいていなかった。
何処にも行かず、何もせず、ひたすらずっとのぞみを腕の中に抱いていた。
のぞみはもう何も言わず、ずっと目を閉じていた。
僕の腕の中で、のぞみの身体は徐々に体温を失っていった。
冷たくなったのぞみの身体を、僕はぼんやりと抱いていた。
多分誰に止められたとしても、決して離さなかったはずだ。
体温を失い、冷たくなったのぞみは、時間が経つにつれて腐敗していった。
それでも、僕はのぞみを離さなかった。
のぞみの身体が朽ち果て、原型を留めず、耐え難いほどの異臭を放っていた。
それでも…それでも僕は、のぞみを抱いたまま離さなかった。
だって、それはのぞみだから。
死んだとしても、原型を留めないほどに腐っても…のぞみはのぞみだ。
僕の一番大切な…僕の希望なのだ。
この子から手を離してしまったら、僕は希望を失ってしまう…。
誰にも希望を奪わせはしない。
…しかし。
僕がどんなに、必死にのぞみの亡骸を抱き続けていても。
それは、結局亡骸でしかなかった。
朽ち果てたのぞみの身体には虫が湧き、異臭を放つドロドロの体液が身体中から漏れていた。
最早、それを抱き続けることは出来なかった。
貧民街に、まともなお墓なんてない。
母の遺骸だって、野良犬やカラスに食べられてしまったのに。
埋める場所もなく、かと言ってのぞみの身体を捨てることも出来ず。
僕は虚ろな目をして、ぼんやりと、変わり果てたのぞみを見つめていた。
多分、僕も無意識の間に失神していたのだろう。
気がつくと、ぐちゃぐちゃに溶けたのぞみの亡骸がなくなっていた。
僕の意識がなくなっているうちに、野良犬やカラスが持っていってしまったのか。
腐り果てた遺骸を見て、誰かが感染症を恐れて連れて行ったのか…。
だが、そんなことはどうでも良い。
大事なのは、僕にとって希望が失われたということだった。


