神に選ばれなかった者達 後編

震えて、怖くて、逃げ続ける日々を送って。

そんな毎日が、長く続かないことは分かっていた。

「ねぇ、みらく。スマホ光ってるよ?」

「えっ…?」

昼休み。

女友達に、そう声をかけられた。

見ると、私が机の中に入れていたスマホの画面が光っていた。

…!電源、消しておいたのに…。

まるで、「逃げるな」と言われているようで、寒気がした。

「誰かから連絡?」

「う…うん、そうね…。そうみたい…」

震えながら、私はスマホを手に取った。

勿論そこには、『処刑場』の掲示板が。

見ないようにしようと思っていたのに、嫌でも目に入ってきてしまった。

『天使ちゃん∶【定期】響也、みらく、見てるなら返信をしてくれ』

佐乱李優くんからのメッセージだった。

掲示板の履歴には、何度もそのメッセージが残っていた。

李優くんはずっと、私と響也くんの安否を心配してくれていた。

…李優くんだけではない。

『ポンコツスナイパー∶生きてるのかどうかだけでも報告してくれよ。

ポンコツスナイパー∶面倒だったら、顔文字一個でも良いから』

妹尾ふぁにくんからも、そのようなメッセージが掲示板に届いていた。

『シスコン兄の妹∶響也さん、みらくさん、元気ですか?

シスコン兄の妹∶元気じゃなくても、ここを見ていたら返信ください。

シスコン兄∶のぞみが心配してるから、早く返信してくれ』

空音のぞみちゃん、空音いそらくんからも、同じようにメッセージが来ていた。

私と、響也くんを心配して。

私はこのメッセージを、ずっと無視してきたのだ。

見ないようにして…必死に目を逸らして。

私は、慌ててスマホの画面をオフにしたけれど。

…一度見てしまったら、これ以上無視することは出来なかった。

居留守を使っているような、長時間既読無視しているような、そんないたたまれない気分だった。

「…みらく?どうかした?」

スマホを手に固まってしまっている私に、女友達が声をかけた。

「…だ、大丈夫…。…何でもない…」

「そう?…それなら良いけど…」

友達には相談出来なかった。

これは、私が向き合わなければならない問題だった。

「それよりさぁ、みらく。今日、帰りスタボ寄っていかない?」

「そうそう。新作のあんみつ味のフラペチーノが美味しそうで…」

何も知らない呑気な友達が、私をそう誘ってくれた。

…中学校の時だったら、望むべくもない友達からの誘いだった。

…でも。

「…ごめん。ちょっと、今日…用事があって。また誘ってくれる?」

「なーんだ、来ないの?」

「残念」

私は、曖昧に笑って誤魔化した。

…これ以上、目を逸らし続けるのはもう限界だった。