神に選ばれなかった者達 後編

しかし。

私がおじさんの部屋を出た時には、お兄ちゃんは既に。

更に、そのお隣の部屋に乱入していた。

う…嘘でしょ?

「見てこれほら!のぞみが!のぞみがくれたんだよ!」

「きっ…きゃぁぁぁ!何!?何なのあなた!?」

女性の悲鳴が聞こえる。

慌てて、お隣のお隣の部屋に飛び込むと。

丁度お風呂上がりだったらしく、その部屋の住民であるおばさんは寝間着姿で。

鏡台の前に座って、顔パックの真っ最中だった。

図らずも、同じアパートの住民の顔パック姿を見てしまった。

どうしたら良いの。今度から目を合わす度に気まずい思いをするわよ。お互いに。

しかし、お兄ちゃんだけは、そんなことまったく気に留めない様子で。

「素敵でしょう?誕生日でも何でもない日なのに、お兄ちゃんにプレゼントをくれるなんて…。なんて優しい子なんだ!」

「ちょ、ちょっと。いきなり部屋に入ってきて…。一体何の話よ!?」

ごもっとも。

それなのに、お兄ちゃんは。

「何の話?僕ののぞみが最高に可愛いって話だよ!」

ドヤ顔で、そう答えた。

あぁ、もう意味不明よ。

ともかく、何としてでもお兄ちゃんを止めなくちゃ。

「ちょっと、お兄ちゃん!いい加減に…」

「よし、次!!」

次って何なのよ!?

稲妻のような勢いで、お隣のお隣の部屋に乱入したお兄ちゃんは。

出ていく時も稲妻のような勢いで、ドタドタ音を立てながら出ていった。

「な…何なの…?」

ぽかんとしたおばさんの顔パックが、ぺろり、と剥がれ落ちた。

あ、あぁ…。

「す、済みませんでしたっ…!本当に済みませんでしたっ…!」

警察を呼ばれかねないお兄ちゃんの暴挙に、私は必死に謝罪した。

こちらも、後でお詫びに伺います。

あと、そのパックの代金お支払いします。

私は何度も頭を下げて、お兄ちゃんを追いかけた。

しかしその間にお兄ちゃんは、アパートの様々な部屋に乱入していて…。

「うわぁっ!?何だアンタ!?」

「きゃぁぁぁっ!!」

「ちょ、今風呂に入っ…」

「ぎゃぁぁっ!誰だよお前は!?」

最早、アパート中が阿鼻叫喚。

お兄ちゃんだけは満面の笑みで、大興奮で私とマフラーを自慢していた。

…。

…神様。

これは、一体何の罰ゲームですか…?