神に選ばれなかった者達 後編

夕食後。

お兄ちゃんに乞われるままに、私は今日の『ブラック・カフェ』の話をした。

メニューが全部真っ黒で、私はホットミルクと「ブリオッシュ」っていう食べ物を食べたのよ、って。

お兄ちゃん、興味津々だった。

「へぇー、のぞみはお洒落だね」って。

私がお洒落なんじゃなくて、お店がお洒落なのよ。

…で、その話の後。

何だかんだあって渡せなかった「アレ」を、今日こそ渡そうと思った。

「お兄ちゃん、あの…これ」

「?のぞみ、どうしたの?」

「実は、その…お兄ちゃんにプレゼント」

「…??」

お兄ちゃんは首を傾げながら、私が差し出したその包みを受け取った。

…本当は、もう何日も前に買ってたんだけどね。

何だかんだで、渡す機会がなくて…。

「何?どうしたの、いきなり…」

と言いながら、包みを開けると。

出てきたのは、お洒落な雑貨屋さん…の、割引セールワゴンで売っていた、グレーのマフラー。

「…」

そのマフラーを目にしたお兄ちゃんは、そのまま固まってしまった。

「その…別に、何かの記念日って訳じゃないけど…。この間、友達の誕生日プレゼントを買いに行った時に、見つけて…」

「…」

「割引になってたの。と言っても…もとはお兄ちゃんのお金なんだけど。無駄遣いしてごめんね。だけどお兄ちゃんに…せめて…」

「…」

「拾ったスカーフより良いかなって…。…どうかな」

「…」

「…お兄ちゃん?」

何で黙っちゃったの?

グレーのマフラーを手に、そのまま固まってしまっている。

…だ、大丈夫?

「お…お兄ちゃん…?どうしたの?」

「…」

かと思ったら。

お兄ちゃんは、ぶるぶると痙攣を始めた。

え、えぇっ…?

「お兄ちゃん…!?」

「…」

俯いてしまってるから、表情は見えないけれど。

…まさか、怒ってるの?

「自分のお金で、こんな無駄遣いするなんて!」って怒ってる?

ど、どうしよう。

それセール品だから、返品しようにも出来ないよ。

「あ、あの…お兄ちゃん…」

「…」

「ご、ごめんなさ、」

私が謝ろうとした、その瞬間。

「≤©>∫∷∇≮≤≧∌γ∇∈Ⅱ③!!」

「!?」

お兄ちゃんは、突然壁や床をどんどん叩きながら奇声をあげ始めた。

な、何事?