神に選ばれなかった者達 後編

おうちに帰ってから。

「はーい、のぞみ。お待ちどうさまー」

「…!ありがとう、お兄ちゃん」

我が家のシェフであるお兄ちゃんが、今日の夕飯を作って持ってきてくれた。

今日のメニューは、ちくわ天丼と、豆苗のおひたし。

このちくわ天丼というのは、ちくわ天をご飯に乗せたものではなく。

味付けして焼いたちくわと、天かすをいっぱいご飯に乗せたものである。

ぱりぱりした天かすとちくわ、それからご飯を一緒に口の中に入れると、なんちゃってちくわ天丼みたいな味になるの。

良いアイデアでしょ?

それから、この豆苗のおひたし。

豆苗っていうのは素晴らしい野菜で、なんと使った後に根っこの部分を水につけておくと、また生えるの。

一回買うだけで、そうやって二、三回繰り返し食べられるんだから、エコだよね。

そしてお財布にも優しい。

しかも、茹でてお醤油かけて食べるだけで美味しい。なんて万能野菜。

「どう、美味しい?のぞみ」

「うん。美味しい」

お兄ちゃんのご飯はいつだって、文句なく美味しい。

しかし。

「そう?…無理してない?」

と、聞いてきた。

「…??無理ってどういうこと?」

「いや…。さっきまで、美味しい喫茶店に行ってたんでしょう?だったら、お兄ちゃんのご飯なんて美味しくないかなと思って…」

「…!」

とんでもない。

「そんなことないよ…。カフェの料理も美味しかったよ。物凄く高かったけど…」

むしろ、それだけ高いなら、美味しいのは当たり前って言うか…。

高いのに美味しくないのは最悪。

「でも、それはそれだよ。カフェの料理とお兄ちゃんの料理、どっちを食べたいかって聞かれたら、私はお兄ちゃんの料理を選ぶもん」

「…!のぞみ…」

「…ごめんね、お兄ちゃん。私、お兄ちゃんが頑張って稼いだお金を…無駄遣いしちゃって…」

今日、遅くまでお仕事してたのもそのせいだもんね。

お兄ちゃんには何の恩恵もないのに…。私はお兄ちゃんのお金を浪費して…。

嫌味の一つや二つくらい、飛んできても文句は言えない。

それなのに。

「…そんなこと気にしなくて良いんだよ、のぞみ」

お兄ちゃんは、優しく微笑みながらそう言った。

「お兄ちゃんはのぞみに、人並みの生活をさせてあげたくて、いつも頑張ってるんだから。美味しいものを食べさせて、綺麗な服を着させて、勉強もさせて…」

「充分だよ。もう、充分…良くしてもらってるよ」

現実でも、夢の中でも。

いつだって、充分良くしてもらっている。

…私には、勿体無いくらいに。

「だから、今度は…今度は一緒に行こうね。私だけじゃないなくて、お兄ちゃんも」

「いや、お兄ちゃんは良いんだよ。のぞみだけで…」

「嫌。お兄ちゃんが行かないなら私も行かないから」

「…のぞみは良い子だけど、ちょっと頑固だな…」

頑固で結構よ。