神に選ばれなかった者達 後編

結局皆、注文したメニューを、あっという間に全部ぺろっと完食。

ご馳走様でした。

お会計を済ませて、大満足で『ブラック・カフェ』を出る。

「あー、美味しかった〜」

「皆、ご馳走様。最高の誕生日プレゼントだったわ」

「良いのよ、りーちゃん」

「喜んでくれて良かった」

女友達、そしてりーちゃんは、呑気な会話をしていたけれど。

私は、正直そんな素直に喜べる心境ではなかった。

…え?さっきまであんなに気分良さそうに食事してたのに、何が不満なのか、って?

…別に『ブラック・カフェ』に不満がある訳じゃないのよ。

凄く美味しかったし、それは満足だった。

でも…お会計が、ね。

分かっていたことではあるけど、高いの何のって。

それぞれ自分が食べた分と、りーちゃんの分を女友達皆で割り勘にして。

それだけで、あっさりと吹き飛ぶ数千円。

あぁ…辛い。

『ブラック・カフェ』にいた時間なんて、精々二時間くらいのものよ。

その二時間の間に、数千円が消し飛んだ。

時給いくらよ。

そう思うと、このお金を稼いでくれたお兄ちゃんに申し訳ない。

ホットミルクとブリオッシュは美味しかったけど、それとこれとは話が別。

ほんの少しのホットミルクと、握り拳くらいのパンだけで…数千円…。

それに、りーちゃんの誕生日プレゼントを買う為にも、余計なお金を使ってる訳で…。

この誕生日祝いの為に、一体いくら注ぎ込んだのかと思うと…。

…あまりの虚しさと罪悪感に、胸が痛い。

別に、りーちゃんの誕生日を祝うのが嫌って訳じゃないのよ。

だけど、このお金は、お兄ちゃんが汗水垂らして、大変な思いをして稼いでくれたお金。

それなのに、そのお金を私が浪費している。

そう思えて仕方がない。

ごめんね、お兄ちゃん…。こんなことの為に、頑張ってお金を稼いでいる訳じゃないだろうに…。

…はぁ、憂鬱。

駅まで皆で歩いてきて。

「それじゃ、今日は解散しよっか」

「うん。皆、今日は本当にありがとうね」

「どういたしまして」

「また明日ねー」

ようやく解散の号令が出て、皆別々の方向に歩いて帰っていった。

…さてと。

それじゃ、私も帰ろっか。