神に選ばれなかった者達 後編

…その後。

結局私は、黒いホットミルクのみならず。

「ぶらっくぶりおっしゅのぶらっくかすたーどそえ」っていうフードメニューも頼むことになった。

今月の新商品らしいよ。このメニューが。

ブリオッシュっていうのが、どういう食べ物なのか分からないけど。

まぁ、食べられないってことはないと思う。

…え?写真を見れば分かるだろうって?

見たんだよ?写真…。でも、黒くて丸っこい塊にしか見えなくて…。

フードメニューなんて頼むつもりなかったんだけど、流れで、仕方なく…。

皆、飲み物に加えて、ケーキとかパフェとか頼んじゃって…。

「のぞみはどれにする?」なんて聞かれたら。

「いや、私は要らないから」とも言えず…。

これでも、一番安いフードメニューを頼んだつもりなんだよ?

どれもこれも、何でこんなに高いの?ってくらい高い。

りーちゃんは、「奢ってくれるんでしょ?(笑)じゃあケーキとドリンク頼もーっと」

とか言って。

ブラックフルーツケーキと、ブラックカフェオレのLサイズを頼んでた。

これを皆で割り勘にするのよ。

みみっちいのは百も承知だけど、心の中で「出来るだけ安いもの頼んで…!」って祈ってた。

他の女友達も、ブラック・ガレットとかいう食べ物や、ブラック・ピーチメルバかる食べ物を頼んでた。

何なのよ…。ガレットとかピーチメルバって…。

名前からして高級感が漂ってる。

私の頼んだ「ぶりおっしゅ」なる食べものも、同じくらい謎だけどね…。

注文してから、しばらく待っていると。

黒エプロンを身に着けた店員さんが、黒いお盆に、黒いお皿と、黒いマグカップ入れて持ってきた。

「お待たせいたしましたー」

「おっ、来た来た」

「やったー。お待ちかね!」

テーブルの上に乗せられる、湯気を立てる食べ物達。

うわー…。凄い。

お金がお皿に乗せられて出てきてるようにしか見えない。

お兄ちゃんの心尽くしの庶民料理に慣れ親しんだ私にとっては、異国料理みたいだ。

この光景、写真に撮ってお兄ちゃんに見せてあげたい。

見事に、全部黒。

飲み物も食べ物も、全部黒いの。驚きの黒さ。

いかにも食欲をそそる芳ばしい匂いがしていなければ、食べ物には見えなかったかも…。

「はいっ、それじゃー皆、行くよ」

え、何処に?

食べ物を前にしたら、すぐに食べ始めるのが私の流儀なのに。

食べ物が目の前にあるのに、先に他のことするなんて有り得ないでしょ。

あろうことか、女友達が音頭を取って、歌い始めた。

「ハッピーバースデートゥーユー♪ハッピーバースデートゥーユー♪」

あ、歌うのか…。

そうだよね。誕生日だもんね。

私も一緒に歌おう。

「ハッピーバースデーディアりーちゃん♪ハッピーバースデートゥーユー♪」

「おめでとう、りーちゃん」

「おめでとー!」

「ありがとー!」

りーちゃん、満面の笑み。

喜んでもらえると、やっぱり悪い気はしないね。