神に選ばれなかった者達 後編

「立って。起きて」

萌音は、バケモノ忍者Bの襟首を掴んで、無理矢理引っ立てた。

その顔を覆っていた黒装束を引き千切ると。

その下から、まるで普通の女の人みたいな顔が出てきた。

ふーん。この人、女の人だったんだ。

みんな黒い服着て顔を隠してるから、男女の区別も覚束ない。

女の人なのに、顔、スコップで殴っちゃってごめんね。

だけど、先に拳銃を向けてきたのは君だから。

「…ムノタレクデイナサロココ…」

忍者B、改め。

女の忍者なので、くノ一さんだね。

そのくノ一さんが、何やら呻いていた。

でも、なんて言ってるのか分からない。

忍者語は分かんないよ、萌音。

「モニナハトコイタリシノチタエマオハンブジ…」

だから分かんないって。

でもその声色から、多分、命乞いしてるんだということは分かる。

バケモノでも命乞い、するんだ。

自分は真っ先に、萌音が命乞いする間もなく、萌音を殺す為に拳銃を向けてきた癖に。

どうして、自分の命乞いだけは聞いてもらえると思ったの?

そんな虫の良い話は有り得ないよね。

まぁ、萌音は命乞い、しないけど。

とはいえ。

命乞いしてくれてるなら、有り難い。

「生きたいんだよね?じゃあついてきて」

「レクデイナサロコ…サロコ…」

「何言ってるのか分かんないよ。早く動いて」

「ゥグッ…」

どうやら、お互い言葉通じないみたいだし。

無理矢理動いてもらうしかないよね。

「萌音…どうするつもりなんだ?」

と、訝しむ李優。

「エレベーターだよ、李優。エレベーター、この人に使えるようにしてもらおう」

「…!」

萌音が何しようとしてるのか、李優も気づいたようだ。