神に選ばれなかった者達 後編

拳銃の銃口を向けても、萌音が一切怯んでいないのを見て。

バケモノ忍者は、拳銃の引き金に指をかけた。

そう。一応、拳銃を撃つくらいの根性はあるんだ。

でも、それも想定内。

バケモノ忍者Bが、拳銃の引き金を引くと同時に。

萌音は、床に昏倒していた方のバケモノ忍者Aの襟首を掴み、萌音の前に盾として掲げた。

仲間が肉の盾にされるのを見て、慌てて忍者Bは銃口を逸らそうとした。

でも、もう遅かった。

ヒュンッ、っていう音がして、盾にした忍者Aの身体が撃ち抜かれた。

忍者Aの肉体は一瞬にして裂け、黒装束の隙間から、血と肉片が噴き出した。

あーあ。仲間を殺しちゃったね。

まぁ、盾にしたのは萌音だけど。

仲間が一瞬にして絶命したのを見て、激しく動揺する忍者さんB。

「ほいっ、と」

「!?」

萌音は、その隙に、肉の塊と化した忍者Aの残骸を、残る忍者Bに投げつけた。

覆い被さってきた仲間の遺体を、払いのける隙を萌音は与えなかった。

すぐさま肉薄して、スコップを振り上げ。

忍者さんBの頭を、思いっきり、激しく打ち据えた。

これまた、ガツン!!と重く、確かな手応え。

しかし、その一撃で忍者さんBが意識を失うことはなかった。

拳銃をその場に取り落とし、朦朧としながらも、何とか抵抗しようとした。

それはやめて。

萌音はスコップを水平にして、忍者Bの顔面をぶん殴った。

敵の戦意を折るには、顔を狙うのが一番。

これ豆知識だから、後学の為に覚えておくと良いよ。

まずは顔、特に目を狙おう。

ということで、萌音は忍者が唯一露出している部分、両目を狙ってスコップを振り下ろした。

あまりの衝撃に、ぽーん、と目玉が外に飛び出していた。

ちぎれた血管を毛のように生やして、床にコロコロ転がる目玉。

「ァァァァァグィィォァア!!」

すんごい悲鳴をあげてるけど、無視。

だって、殺さなきゃこっちが殺されちゃうもんね。

「萌音!」

その時、後ろから走ってきた李優が、萌音に追いついた。

「あ、李優おかえり」

「おかえりじゃねぇ。お前、一人で突っ走って…!」

言いながら、李優はすかさず床に転がっていた拳銃を拾い上げた。

万が一にでも、錯乱した忍者Bが拳銃を拾って発砲したら、ただごとじゃ済まないと思ったんだろう。

そして、李優はその拳銃の銃口を忍者Bに向けた。

「下がってろ、萌音。こいつの息の根を…」

「ううん、李優。駄目、撃たないで」

「えっ…?」

李優はびっくりして、こちらを振り向いた。

「…どうしたんだ?慈悲をくれてやるなんて、萌音らしくもない…」

「え?別に慈悲じゃないよ?」

「は?」

用事がないなら、このまま容赦なくトドメを刺すんだけどね。

今回は、ちょっとやってもらわなきゃいけないことがあるから。

目玉、吹っ飛ばしちゃったのは失敗だったかな…。何も見えないと困るよね。

まぁいっか、もう片方の目玉はかろうじてついてるみたいだし。