神に選ばれなかった者達 後編

中学校に入学してから半年足らずで、私はいじめられるようになった。

クラスメイトに無視されたり、かと思えばクスクス笑われたり。

からかわれたり、嫌なことを言われたり。

上履きを隠されたり、教科書やノートに落書きされたり…。

今思っても、辛い毎日だった。

いじめのことを、誰かに話したことは一度もない。

パパと離婚してからというもの、ママは毎日、とても疲れているようだった。

私を養う為に、昼夜問わず働いていたのだから無理もない。

あの頃ママは、所謂ブラック企業に勤めていて。

ママにとっても、とても辛い時期だったに違いない。

上司からのパワハラに辟易していても、私を養う為に、仕事を辞める訳にはいかない。

他に頼れる人も居ない。自分でなんとかするしかない。…耐えるしかない。

ママも、私も、そんな状態だった。

今でこそママも、働く部署が変わって、パワハラをする上司から解放され。

随分働きやすくなったみたいで、表情が明るくなったけど。

当時は本当に…私もママも、毎日本当に辛かった。

ママに心配をかけたくなかった。

学校の先生は信用出来なかった。

他人に相談するなんて、思いもよらなかった。

他人なんかに何が出来るの?

結局私は、中学校を卒業するまで、3年間ずっと辛い毎日を送った。

お互い何も言わなかったけど、ママも、私が学校で上手く行ってないことに気づいていたのだろう。

私と話す時は、いつも何処かよそよそしくて。

まるで、腫れ物に触れるみたいな態度だった。

それも悲しかった。

だからこそ、中学校の時のクラスメイトから離れたくて。

わざと遠くの高校を受験して、それが今通っている高校だ。

中学校でのいじめに、ほとほと疲れ果てていた私は。

高校に入る時に、一つの誓いを立てた。

高校に入ったら、絶対にいじめられたくない。

今度は、クラスメイトと友達になってみせる。

その為に、私は所謂、高校デビューをした。

女性雑誌を読み漁って、どんな風にメイクをしたら好感を持ってもらえるのか研究した。

話し方や態度、振る舞いにも気をつけた。

とにかく、クラスメイトに好かれたい一心だった。

自分がいじめられたくないばかりに、『あいつ』へのいじめに加担した。

皆がいじめてるんだから。私だけじゃないんだから。

だって仕方ないじゃない。『あいつ』をいじめなかったら、今度は私がいじめられてしまうかもしれない…。

自分にそう言い訳をして、私はクラスで自分の地位を固めようとした。

そして、その努力は無事、実を結んだ。

今の私を見てみると良い。

毎日お喋りする友達がいて、一人ぼっちじゃない。

誰も私をいじめない。皆が明るく振る舞ってくれる…。

…それは、私が中学生の頃、ずっと待ち望んでいた毎日だった。