神に選ばれなかった者達 後編

どうしても…。って言われても。

李優もめっちゃ困ってた。

「いや…。…好きで付き合ってるんだから、それは当たり前だろ?」

「私のことは…?嫌いなんですか?」

「…嫌いも何も…。俺、あんたのこと全然知らないからな…」

顔、さっき見たばっかりだもんね。

好きにはなれないけど、嫌いにもなれない。

まずはお友達からどうぞ。

「悪いんだけど…俺は萌音…今の彼女と別れるつもりはないから。俺のことは忘れて欲しい」

「…そんなに好きなんですか?今の彼女さん…」

「あぁ…好きだよ。自分の命よりずっと大切な存在だ」

…ほぇー。

…えへへ。何だか嬉しい。

「だから、ごめん」

「…そんな…」

萌音は心の中、ぽっかぽかにあったかかったけど。

一年生の女の子は、ぽろぽろと涙を流していた。

…あーあ…。李優が泣かせたー…。

李優は悪くないけど、李優が泣かせちゃった…。

李優の、あのいたたまれなさそうな顔。

申し訳ないなぁとは思ってるんだろうけど、でもどうしようもない…。…みたいな。

李優は優しい良い人だから。

自分の責任じゃないことでも、申し訳ないと思ってしまうのかもしれない。

「どうしても駄目だなんて…。あんなに勇気を出してお手紙…書いたのに…」

ぽろぽろ。

「私の…何がそんなに駄目なんですか?私、そんなに魅力…ないですか…?」

「い、いや…そんなことはないとおも、」

「じゃあ、何で私を選んでくれないんですかっ?」

「…そ…そう言われても…」

李優、困っちゃってる。

「君にはもっと…相応しい人がいるとおも、」

「相応しい人って誰なんですかっ?」

「…そう言われても…」

駄目だよ李優。曖昧な言葉で逃げようとしても。

もっとはっきり言わないと…。

李優が言葉を発すれば発するほどに、墓穴を掘っているような気がする。

「私に相応しいのは佐乱先輩だけです。必ずそう思ってもらえるように努力します」

と言って。

感極まった女の子は、李優の手をぎゅっと取った。

…!

「だから、お願いします…。私を選んで下さい…」

「え、いや、ちょ、そんなこと言われても、」

「絶対に、後悔はさせませんから…!」

そう言って、更に、ぎゅっ。

…むっ…。

何だろう。分かるかな、この気持ち。

自分だけの秘密基地だと思ってた場所を、知らない間に他人に占領されていた、みたいな。

それは駄目だよ。

萌音の秘密基地は、萌音だけのものだし。

萌音が好きな李優は、萌音だけのものだから。