神に選ばれなかった者達 後編

李優と一年生の女の子は、人気のない廊下の突き当たりまで移動した。

ここならよーし。

「そ、それで…えぇっと…」

移動したのは良いものの、何と言ったら良いのか、戸惑う李優。

すると、女の子が。

「…どうして、私じゃ駄目なんですか?」

…またそう聞いた。

さっきからこの子、こればっかりだね。

どうしてどうして、って。

世の中には理由のないこともあるんだよ。

「私…入学してから、佐乱先輩のこと、ずっと…」

「そ、そうか…。それは…その、気持ちは嬉しいんだけど…」

「…どうして、私じゃ駄目なんですか?」

また聞いてる。

「ごめんな…。俺、もう付き合ってる人がいるんだ」

萌音のことだ。

「…その人、同じ学年の人なんですか?」

「あぁ…そうだよ」

「…もしかして、同じ部活の?」

「うん」

「そんなっ…。あんな騒がしい人と…!」

…騒がしい人?

萌音、騒がしいかな?

「え…?いや、騒がしいか…?」

李優も首を傾げていた。

萌音ってそんなにお喋りかな。ごめんね。

もしそうなら、今度からもうちょっと大人しく、

「だって、あの部活の部長さんですよね?」

「は?」

「部長さんと付き合ってるんですよねっ?」

李優、びっくり仰天して転倒しかけていた。

すってんころりんするところだった。危ないところだった。

「まほろのことか!?何でそうなるんだよっ…!?」

「え、違うんですか?」

「違うよ!…誤解するなら、せめて女にしてくれないか…?」

まほろ君、男の子だもんね。

李優、そっち系男子だと思われてたかー。

大丈夫だよ、李優。今は多様性の時代だから。

「それじゃあ、誰と…?あっ、もしかして私と同じ学年の…!さっき廊下で会った…!」

「…小羽根のことじゃないだろうな。違うからな。やめてくれ」

小羽根君にまで飛び火が。

「そうじゃなくて、ちゃんと女子。同じクラスで同じ部活の女子だよ」

「…そうですか…」

萌音のことだよ。

ここにいるよー。萌音だよー。盗み聞きしてごめんねー。と、テレパシーを送る。

「そんな訳で、その子と付き合ってるから…君とは付き合えないんだ。ごめん」

「…」

李優ははっきりきっぱりと、そう言って断ったけど。

一年生の女の子は、どうにも釈然としないようで。

「…どうしても、その子が良いんですか…?」

と、聞き始めた。