神に選ばれなかった者達 後編

なんて、ふざけている場合じゃなかった。

「お手紙…読みました」

その女の子が、暗い声で呟いた。

お手紙って、李優がお昼休みに、あの女の子の下駄箱に投函しに行ったお手紙のことだよね?

ラブレターのお返事…。

「どうして…私じゃ駄目なんですか?どうして…」

女の子の目に、ぶわっ、と大きな涙の粒が浮かんだ。

あーあ…。李優が女の子泣かせた…。

「うわ、見て…」

「マジかよ。修羅場じゃん…」

通りすがりのクラスメイト達が、李優と一年生の女の子を見て、ひそひそ。

「ちょ、ちが。待っ、そうじゃな、」

焦る李優。

と、そこに。

「あ、良かった李優先輩。これ、まほろ部長から…」

「こ、小羽根…!?」 

悪い巡り合わせは続くもの。

その修羅場に、偶然、本当に偶然。

自由研究部の後輩の小羽根君が、何やら李優に渡す為の書類?みたいなものを持ってやって来た。

しかし。

小羽根君は、焦りまくる李優と、その真正面でぐすぐすと泣いている女の子を、順番に見て。

「…あっ…」

何かを察したらしい。

「…ちょっと待て、小羽根、違う。これは誤解だ。誤解なんだよ。弁解をさせ、」

「お、お邪魔して申し訳ありませんでしたっ…」

「小羽根、ちょ、待てって。小羽根ーっ!!」 

これは関わり合いになってはいけない、と察したらしい小羽根君。

くるりと踵を返すと、李優の制止も聞かず、脱兎のように逃げていった。

…わー…。

何だろ。李優が凄く悪者みたいになっちゃってる。

…いや、今は実際に悪者なのかな…?

「あ、あぁもう。ちょ、ちょっと向こうで話そう。な?ここじゃ通行人の迷惑だから。な?」

「…はい…」

李優は何とか女の子を宥めすかし、別の場所に移動することを提案。

あ、行っちゃった…。

…。

…これ、萌音ついてっても良いかな?

野次馬じゃないよ。萌音はほら…見届け人だから。見届け人。

それに、夢の中で鍛えた腕前のお陰で、尾行はお手の物。 

よし、じゃついていこっかな。