神に選ばれなかった者達 後編

「…うわぁ…」

「こんがりだねー」

「…こんがりどころじゃねーだろ…」

舞台は病院。

その病院の霊安室で、異形のバケモノ…の死体が、死体焼却炉で焼かれているのを。

萌音と李優は、物陰からじーっと見ていた。

萌音としては、隠れずに出ていって、バケモノ忍者達を始末したいんだけど。

李優が、「まだ情報収集が足りない」と言うから。

仕方なく、隠れて様子を見ることにした。

…死体がこんがり焼けましたー。

焼かれ始めてすぐの頃は、焼却炉の中から断末魔の悲鳴が聞こえていた。

でもやがて、すぐに静かになった。

焼け死んだんだろうね。

たっぷりと時間をかけて、骨になった死体達。

焼却が終わる頃に、再び忍者さん達が戻ってきて。

固く閉じていた焼却炉の蓋を、ようやく開けた。

その中に入っていたのは、既に骨だった。

白い骨を掻き出して、ちゃんとお骨を拾って骨壷に入れて…。

…なんてことは、当然するはずもなく。

スコップをざっくざっくと焼却炉に突っ込み、骨を掻き出して。

誰のものかも構わず、骨をすくっては、大きな塵取りみたいなものの中に入れ。

更にそれを、黒っぽい雑嚢袋にざざーっ、と移し。

袋の口を縛って、何処かに持っていってしまった。

…。

…何だか、落ち葉みたいだね。

落ち葉を拾って、ゴミ袋に入れて捨てる、みたいな…。

…落ち葉じゃなくて、骨だけど。

「酷いもんだな…。…ゴミみたいな扱いしやがって…」

李優はそれを見て、苦々しく呟いた。

あれは人間の骨じゃなくて、バケモノの骨だから。そんなに気にしなくて良いと思うけど。

李優は優しいね。

骨を全部拾った後、忍者さん達は、また新しい死体を焼却炉に放り込んでいた。

…あの人達、一日中こんな仕事を繰り返してるのかな?

死体を焼いて骨を集めるだけの、簡単なお仕事です。

あの骨、どうするんだろう。

ちゃんとお墓に入れてもらえるのかなぁ。

…多分無理だろうな。

お墓に入れてもらえるなら、あんな雑な扱いされるはずないもん。

きっと、あのまま捨てられるんだろう。

…まぁ、しょうがないよね。

知っている人の骨だから、価値があるんだよ。

知らない人の骨なんて、ゴミと同じだ。

お魚を食べる時、骨をいちいち取っておいて、土の中に埋めたりしないでしょ?

多分あのバケモノ忍者達にとって、あの骨はそういう認識なんだろう。

新しい死体を焼却炉に放り込むと、バケモノ忍者達は再び、焼却炉に蓋をして。

点火するなり、またしてもさっさと立ち去った。

そしてその後に残されたのは、先程と同じ。

死に損なった死体達の、断末魔の呻きだった。