神に選ばれなかった者達 後編

ついでにもう一個くらい話そうか?

三回目の悪夢に出てきたバケモノは、子供だった。

本当に子供だったんだよ。

幼稚園の年少さんくらいの、ちっちゃい子供。それが10人くらい。

最初にそれを見て、萌音は嬉しかった。

だって萌音、夢の中では大人の身体をしているけど。

中身は、まだまだ赤ちゃんだから。

生後一月ほどの赤ちゃん。

同じ赤ちゃん仲間だと思って、仲良く出来るんじゃないかと考えていた。

我ながら甘いよね。

あの悪夢の中で、人間と仲良く出来るバケモノなんているはずがない。

だって奴らは、敵なんだから。

どんなに無害そうな見た目をしていても、敵は敵。

萌音は、そのことを嫌と言うほど思い知らさらされることになる。

夢の中で、子供達の傍に歩み寄ろうとした時。

その子達が、異様な身なりをしていることに気づいた。

子供達はガリガリに痩せ細り、皮膚は荒れ、血の気がなかった。

手も足も枯れ枝みたいに細いのに、お腹だけが不自然なほどに、ぽこんと膨らんでいて。

目は落ち窪み、唇はガサガサで、今にも死にそうだった。

その異様な雰囲気を感じ取って、思わず後退りしたが。

もう遅かった。

子供達は萌音を見つけるなり、虚ろだったその目に生気が…いや、狂気が宿った。

あの子達にとって、萌音は餌だった。

餌以外の何者でもなかった。

我先にと、子供達は薄汚れた指を萌音に伸ばした。 

逃げる間もなく、萌音は子供達に捕まった。

子供達は、その貧弱な体躯からは信じられないほどの強い力で、萌音を無理矢理引っ張った。

引っ張ったと言えば聞こえは良いが、要するに引きちぎったのだ。

腕、足、顔、首、胴体に至るまで。

その手で鷲掴みにして、ブチブチと音を立てて引きちぎり。

そして、貪った。

子供達は次々に迫ってきて、肉にかじりつくように、萌音に噛み付いてきた。

噛み付いて、噛みちぎって、咀嚼する。

その痛みと来たら、言葉ではとても説明出来ない。

目玉を引き摺り出されて、萌音はついに何も見えなくなった。

ただ、自分の目玉をぐちゃぐちゃ齧られる音。

更に、骨にまで食いつかれたらしく、ボリボリと骨を齧られる音。

その他、身体中の色々な箇所を齧られる音…。

ぐちゃぐちゃ、ボリボリ、もぐもぐ、ガジガジ、じゅるじゅると、自分の身体を食べられる様々な音を聞きながら。

ついに、もう痛みは感じなくなった。

そのまま、意識が薄れていった…。

…みたいな悪夢を見て。

この子供達は厄介だった。だって10人もいるし。

萌音が食べられる前に、全員倒さなければならない。

でもこの時も、天使が助けてくれた。

萌音は、一人ずつ子供達を倒した。

その辺で拾った石で、子供達の頭を叩き割った。

一人ずつぷちぷちと、石で頭を叩き潰すだけの簡単な作業です。

その間に萌音も何度も齧られて、あちこち血を流していたけど。

最終的には両者痛み分け。何とか、萌音が勝利を収めた。

やったね。