神に選ばれなかった者達 後編

しかし、勝利に酔う時間なんて与えてくれないのが、この悪夢の恐ろしいところ。

翌日からはステージが変わり、また別のバケモノと戦うことになった。

2匹目の敵は、モグラだった。

…モグラって何?って思った?

モグラはモグラだよ。

あの、土の中で生活してるアレ。

大きさはワームほどじゃないけど、モグラにしては結構大きくて。

そうだな。大人の猫ちゃんくらいの大きさはあったかな。

そのモグラが、萌音の足元にひょこっ、と出てきたと思ったら。

萌音の足首にガジッ、と齧りついて。

凄まじい力で、萌音を地中に引き摺り込んだ。

それは完全に不意打ちで、まったく予想していない攻撃だった。

何とか這い出そうとしたけど、モグラの力の方が遥かに強かった。

その身体の何処に、そんな力があるの?って思うくらい。

だけど土の中に引き摺り込まれた萌音は、それどころじゃなかった。

無理矢理引っ張られた足首が、ちぎれるような痛みを発していた。

そして、泥が口の中に入ってきて、息が詰まった。

実質、生き埋めにされたようなものだからね。

段々と息が苦しくなってきて、口の中が泥でいっぱいになって。

そのまま、萌音は土の中でもがき苦しみながら、事切れた。

生き埋めで死ぬなんて、残酷だよね。

何日も、毎晩、そんな風に殺されて。

でもその時も、ちゃんと天使が萌音を助けてくれた。

その悪夢を見るようになって数日後には、ちゃんとモグラのバケモノを退治していた。

…え?どうやってモグラをどうやって倒したのかって?

そんなの決まってるよ。

モグラを倒すにはモグラ叩き。でしょ?

相変わらず武器がなかったから、萌音は近くに落ちていた木の棒を拾った。

そして、モグラが地上に出てきたところを狙って、木の棒をフルスイング。

これぞ、リアルモグラ叩き。

渾身の力で振り下ろした木の棒が、モグラの頭にボコッ、と陥没した。

その衝撃で、木の棒は折れてしまったけど。 

折れた木の棒の先端が、モグラの頭に深々と突き刺さったままだった。

モグラは血を噴き出しながら、それでもまだ息があった。

何とか安全地帯…そう、土の中に戻ろうと蠢いていた。
 
こうしてはいられなかった。

土の中に逃げられる前に、息の根を止めなくては。

萌音は、折れた木の棒を何度も何度も、モグラに向かって振り下ろした。

逃げられる前に、徹底的に叩き潰す。

無我夢中だった。

それまで何度も、窒息死させられた恨みもあるしね。

気がつくと、モグラの頭は完全に潰れて、原型を留めていなかった。

これが、二回目の勝利。