「梨音~!」

『なに?お兄ちゃん』

「コレで全部か?」

真っ白なタオルを額に巻いてキツそうに息を切らしながらそう聞いてきた。

『うん。ありがとう』

素直にお礼を言うと

汗ばんだ顔でニカッと笑い

「良いってことよ!可愛い妹の為だもんよ!」

そう言って大きな手で私の頭に手を乗せると優しく撫でてくれた。

大好きだよ…。

お兄ちゃんの瞳を見つめ告げない気持ちを心の中で打ち明ける。

4月から

高校2年生になる私は

一人暮らししてる友達の家で一緒に暮らすことになったんだ…。

だから春休みを利用して引っ越しの準備をして

昨日の夜

引っ越し作業が全て整ったから

今日友達の家にたくさんの荷物を詰めたダンボール箱を運びに来たんだ。

車の免許を持ってるお兄ちゃんが協力してくれて自分の車で荷物を全て運んでくれた。

『お兄ちゃんのど乾いてない?』

額に巻いてたタオルを取りそのタオルで顔や額の汗を拭ってるお兄ちゃんに声をかける

「ん~。そういや乾いたな。さすがにマンションの階段の上がり下りはキツかったしな!(笑)」

『だからエレベーター使えば良いって言ったのに』

「いやいや。最近運動してなかったしちょうど良かったよ(笑)」

苦笑いを浮かべてそう言うお兄ちゃん。