屋上にて、君へ

「あの、オリジナルとかは、やってないんですか?」
  
「えっ?おり…じ……なる?」
 


女の子もどうやら下校途中らしい。このセーラー服は、おそらく三ツ葉中学だ。

あっ、ちなみにあたしの母校だったりします。



「あっ、自分で作った曲です。すごい歌上手かったからバンドか何かやってるのかと思って……」
 
「うわわわわーあたしバンドなんてやってないよぉ。全然、普通の高校生だもん。てか自分でも何が何だか……」
 
あたしの声を遮るように、女の子が言葉を続けた。
 
「高校……もしかしてその制服って四つ葉高校ですよね? あたし三ツ葉中学の藍沢って申します! あの、何でもいいです! 即興で何か歌ってもらえませんか?」


「ええ!? 即興って」

ええー無理に決まってんじゃないですか。


「お願いします!」



その時、この、妙な沈黙を打ち破るかのように、あの金属音があたしの脳内を走りだした。

“Lalalalalala~~lalalalalala~~”

頭の中に突然聴いたこともないメロディと歌詞が流れだす。


それに合わせてあたしの口は勝手に動き出した。