屋上にて、君へ

「もーしかしてー、うちのクラスじゃなーい?」

あたしはシオたんを覗きこむように意地悪く言った。

「いっ、いないよぅ。さっ、宿題やっちゃお! ねっ!」

珍しくもシオたんが動揺してる。


“価値観のあう人”

大人っぽいシオたんと並ぶ価値観を持つ逸材が、うちのクラスにいるかと聞かれると、「?」になっちゃうけど。

でもこれはヒっジョーに怪しいですなぁ……いつか問い詰めてやる!



「シオたんシオたん、ここの問2なんだけど」


「ふんふん。ここはね」

プチ家庭教師・汐田柚子。ほんとシオたん、頭良すぎ。

同じ高校に通ってるのが未だに信じられないよ。推薦で受かったとは言ってたけどさ、こんなに頭いいならもっと上狙えたハズなのに。


「いいなぁーシオたんは」

「何が?」

「シオたん頭いいからさー。梨佳はスポーツ万能だし……あたしってほんっと果てしなく普通だよなぁーって」

「もー、ちぃちゃんのどこが普通なのよぉ。今日のお昼休み、ほんと驚いちゃったよ?」



シオたんはクスクスと笑いながら言った。