屋上にて、君へ



「あと、体育委員と放送委員はこの後多目的室に集合な。つうことで、今日のHRは以上! 起立! 礼!」


オカマルの、一礼と同時に教壇は男子生徒に囲まれた。相変わらず、男子生徒だけには人気のあるオカマル。

女子には、“めっきり”らしい(顔はなかなかイイ線いってるんだけど、性格がねぇ~)。




「げー、忘れてたし」

「どしたの、梨佳」

一つ前の席に座る梨佳が、イスの背にもたれかかりあたしを見た。

「あたし体育委員。今日運動会の話し合いがあるのよ。ゴメン千夏、先にシオたんと宿題やってて? 後から行くから」

「わかった。あっ、シオたーん」


二年C組の入り口で、シオたんが手を振ってる。あれ、なんか顔赤い?

シオたんが、前髪を直しながらソワソワしている。


あたしは梨佳の耳元で小声で訊いた。「ねぇねぇ梨佳」


「何?」

「もしかしてさぁ、シオたんの好きな人ってうちのクラスの男子だったり? なんかシオたん放課後うちのクラス寄る時女の子度が三割り増ししてる気がする。気のせいかなぁ?」

「んー」

あたしと梨佳は、教室内を見回した。





「「……気のせいだな!」」



あたしと梨佳はハモってそう断言した。