屋上にて、君へ

「おい山田、HR始まるぞ。あと、ケンカなら女子便でやれよ?」

2年C組担任の、岡 丸男(オカマルオ)先生(年齢、推定28歳・独身)が、気だるそうに歩いてきた。

ちなみにあだ名は『オカマル』、もしくは『カマちゃん』。

担当教科は、現国。


「カマちゃ~ん、助けてよぅ」

「その名で呼ぶな! 現国の評価下げんぞ。つーかお前また鼻血出したんだってな!」

「いまそれどころじゃないんですぅ」

「千夏様! 千夏様!」
女子達の勢いはとどまる事を知らない。右手にリストバンド、左手は高く拳を突き上げ、あたしの名前を連呼している。

これは悪夢?

もう彼女達の『ブレーキ』は折れてしまったらしい。


「なんじゃこりゃ。新手の宗教か? これ、今時の女子高生の流行りか? まぁいい、早く席につけよー。ほら、君たちも帰りたまえ、しっし!」


その一言で、散り散りになる女子達。ブーブー言いながら、蜂達は巣に帰っていった。

ねえ、オカマルが今、エンジェルに見えるよ?

両翼はニコチンに侵されてるけど。




そして、あたしは無事二年C組に帰還した。