屋上にて、君へ



「私達、ずっとレイ様のファンでしたの」


真ん中のリーダー格の女子がそう言うと、残り9人も合わせてウンウン、と大袈裟に頷いた。


「さ、左様でございますか……」

「なのにあなたは!」


ヒィィィィ、来る!

もういい!


煮るなり焼くなりするがいいさ!


悪かった、ああ私が


「千夏様は、ほんの数分で私達のハートを射抜きましたのよ!?」


そう、私がハートを射抜き……えっ?



「これをご覧ください」

現状を飲み込めないまま、アホ面をかくあたしの目の前に掲げられたのは、『C・Y』とイニシャルの入ったリストバンド。しかも10人全員が装着済みだ。


「レイ様には、大変申し訳ないんですが……私達決めましたの! ねぇ皆様?」

「はい! 一生ついて行きます千夏様!」

そこらの野球部にも負けない熱意と、気迫。

たじたじになったあたしの後ろでは、梨佳が声を押し殺して笑っていた。


「ぷふっ、千夏様……サイコー」

「ちょっ、梨佳ぁ~」