屋上にて、君へ

そこには真っ青になった、情けない自分の顔が写っていた。

手鏡を覗き込みながらも一度、さっきの歌を歌ってみた。



それは、自分自身が聞き惚れてしまいそうな程、美しい歌声。


果てしなく空へ伸びる



メロディ

滑らかなピッチ。



一体何が起きたのだろうか?

あの時の金属音やら体の重圧感と何か関係があるのか?

17歳になって声変わり?

まさかの心霊現象?

それとも今、夢見てるの?

歌う度に鳥肌が止まらないよ。



あたしは次々といろんな歌を歌った。

どんなに難解なリズムも、高音域も、スルスルとお腹から喉、そして外へと発っされる。

気がつくとベンチの回りにポツポツと人が現れてきた。