屋上にて、君へ

「あー! 千夏いた!」

二年C組の教室から、梨佳があたしに向かって走ってくる。そしてタックル。


「ぐへっ! なんだよー梨佳」

「なんだよー、じゃないわよ! このサボリ魔! さっき五限目終わって保健室いってあげたらあんたいないしさー。ハル先生が『山田さんならイケメン君とデート中よ♪』って! 説明しなさいよ、せ・つ・め・い!」

「あぅぅ。それがね……」

あたしが梨佳に、この幸せすぎる『鼻血様ありがとうスペシャル第一話』を語ろうとした時


「いたぁぁぁ!」

「山田千夏!」

どこからともなく聞こえてきました、おなごの、あたしを呼ぶ声。

振り返ると、10人くらいの女子の集団がこっちに突進してきた。