屋上にて、君へ

六限目の終わりを知らせるチャイムが鳴った。

藍沢先輩は放課後に部活の集まりがあるらしく、屋上をあとにした。

「またね」

「は、はい」

「山田……えっと」

「千夏です! 数字の千に、季節の夏でチナツ」

「山田千夏さん、またね」

「あっ、藍沢先輩も……お元気で」


そしてあたし達は、東校舎の三階の階段前でサヨナラをした。


『今度、うちの部においでよ』


※藍沢先輩の声が、さっきからエコーかかって頭ん中で響いてる。



「あああぁ」


頬が熱い。

にやついちゃう。

鼻血もたまには役にたつものだな、と、自分の鼻筋をイイコイイコ。

「ふぁ~」

もう全てにおいて満足しきったあたしは、ふーん、と両手を大きく後ろに反らして、あくびをした。