屋上にて、君へ

保健室から出て

すぐの階段を駆け上って駆け上って駆け上って駆け上って……



一階

二階


めまぐるしく変わっていく景色。


三階

四……階?

まだ上がるの?


そして


「着いた!」


この17年間、男の子と手も握った事のないあたしが、いまあの王子に担がれ

東校舎、屋上に到着。


「あの……先輩?」

全く読めない。このお方の一挙一動が。


「こっち」


王子が屋上の更に上、給水タンクのある所まで登り、その場にあぐらをかいてもたれかかった。

あたしは、このスピード感がありすぎる展開に対し、ちっともおさまらない心臓のドキドキと、また“トマトケチャップ”が再発するんではないかという不安にかられていた。

「こっち。おいで。あっ、もしかしてキミ、高いの苦手?」


臆するあたしに、細くて白くて、でもヤッパリ『男の子』な手を差し伸べる王子。


どんどん壊されていくボーダーライン。本当の本当にこれって


ノンフィクション?

[ストーリ3]
ボーダーライン・完