屋上にて、君へ

「あら、もっとイチャイチャしてればいいのに。フフフ、いいわぁ~17歳のほっぺって」

ふざけてハル先生があたしの頬をつついた。

ハル先生は、あたしが近づくと三回に一回はほっぺをつついてくる。

いつもそれを笑顔で受け入れてるが、いまそんな余裕は



ない!



「違います! あたし全然、そういうのじゃありませんし、絶対ないですから! ずぇーったいに!」




あー、出ちゃった。あまのじゃくなアタシ。

昔っからそう。

気持ちを悟られちゃうのが恐くて、気持ちを隠しちゃう。むしろトゲを出して威嚇しちゃうんだ。

「あら」

ハル先生が口元に手をやって、目をまん丸にして驚いてる。無理もない。

普段、あたしは『自己主張の薄くて、危険性ゼロでおとなしいハル先生の妹分』的な位置に所属していたのだ。

「ははっ、そんな全否定しなくても……やっぱ怒ってるかな? 急に歌わせちゃったの」

王子が、シュンッと寂しそうにあたしに言った。