屋上にて、君へ

あたしは、あまりのショックに言葉を失ってしまった。


いや、どんな状態であれ、王子の記憶の中にあたしがいたってのは大変喜ばしい事なのだけど……同時に悲しくもある。


出来れば忘れてて欲しかったし、嘘でも知らない振りをして欲しかった。




女の子として


好きな人に“トマトケチャップ”を二度も見られるなんて……どうですか? 皆様!


「まだ具合悪いの?」

王子が、あたしに優しく言う。

てかこのお方は何故に保健室へ?

まさかあたしの事を心配して……って、ははははは!

ないよないない。


あたしは高ぶる感情に自ら水をかけ、クールに「大丈夫」とだけ言うと、ハル先生の所へ避難した。