屋上にて、君へ



って!

そんな王子に見とれてる場合じゃないでしょ千夏!


なぜ王子がここに?

そしてあのシオたんのボールさばきは何事?

「ほお……お前なかなかやるじゃん」


「ゆず子……あんた」

「りっちゃーん、はいボール♪」

梨佳がシオたんに駆け寄って奪い返したボールを受け取った。

「おいお前」

「なんですか」

ツンツン巨人がシオたんに近づくと、しばらく無言で品定めをするかのように見つめた。

なに? この張り詰めた空気。

もっ、もしかしてアタシ達いまとてつもなく最高にデンジャラスな状況だったり?


何この人達、盗賊?

すごく恐い。どうしよう、先生呼んだ方がいいのかな……


「おい」

ツンツン巨人がそう言うと、王子が「ん」と返事をした。



「この子は? どう?」

シオたんを指差して、ツンツン巨人が王子にたずねる。

王子はベンチから立ち上がり、シオたんをジッと見つめた。

……すごい構図だ。


シオたんを囲むように、王子と巨人が立っている。

勿論、中庭にいる女子の目は皆鋭くアタシ達を突き刺して、さっきから見えない矢があたしの背中にズブズブ刺さってるような感覚に陥る。




「パンチが足りないかな」

「うーん、ダメか」


王子達はそんな感じの言葉を放つと、今度はあたしの方を向いた。