今日もまた公園に来た。

とりわけ綺麗でもなく、楽しくもなく、広いわけでもない、まるで自分

“山田千夏”

の分身のようなこの公園に、今日も来てしまった。

理由などない。

何かを求めてくるような、素晴らしい公園でもないのに

はい

これがまた妙に落ち着くんだ。

最近では、ガタツキの気になるこのベンチにさえ、愛着が湧いてきた。

ベンチの上でゆらゆら揺れながらあたしは時計台へ目をやった。


「5時12分……か」

ポツリと現在時刻を吐いてみたが、虚しさだけが増していくだけだった。

時計台の真下に存在する亀の銅像。

何十年もの間、雨風にさらされてきたのかな。

錆びれた瞳と目が合った瞬間、背筋がゾクっとしてしまう。

景気づけに鼻歌を歌ってみることにした。


あっ、言い忘れました。あたしこれでも

バンドでボーカルやってるんです!








……なんて胸を張って言えたらなぁ。


「ふんふんふふーん♪ チェリーきっすぅー」


あたしのお得意。MyucAtの『CHERRY kiss』

本物のVo.イオルちゃんには到底叶わないけど、

あたしはこの歌が

大好きなんだ。