夢の中では、あの公園での歓声と亀の銅像の寂しげな瞳が交互に映し出されていた。

あたしは歌の合間に何度も鏡を見る。あたしの顔が歪んでいく。

目も
鼻も
耳も

消えていってしまう。



最後に二枚の唇だけが残った。それでも、ただひたすら歌い続ける。機械人間のようにただただ――。







時計台の針はPM5時15分を指していた。

[ストーリ1]
凡才、山田千夏・完