騙すなら墓場まで




 消毒液の匂いに目を開けた。真っ白な天井に、同じくらい白い蛍光灯が目に入った。

 与えられた自室ではないし、かつての安アパートでもない。


「?……」


 私は眠る前に何をしていたのだろう。身体は痛くて動かそうとするだけで激痛が走る予感がする。

 仕方なく目だけ動かすと、点滴がスタンドにかけられているのが見えた。管は自分の腕につながっていて、どうやらここは病室らしいと見当がついた。

 でもどうして病院で点滴を受けているんだっけ……?

 身体の痛みと関係しているだろうことはなんとなく察した。レジデンスを出るときに怪我でもしたんだろうか。



 ……あ。




「美節さん……!?」


 突然起き上がろうとしてベッドに逆戻りした私に、よく知った人の声が聞こえた。


「……伊月さん……」


 点滴の反対側には伊月さんがいた。目の下には隈がくっきりと浮かび、頬は痩けて無精髭まで生えている。