それから彼女は色々と話してくれるようになった。日本の小説が原作のオペラがあるとか、オペラ座の怪人はミュージカルではあるがオペラの影響が強いとか。
──私、一度で良いから一人キャンプをしてみたいんです
──それは……社長がお許しにならないでしょう
──ええ、危ないから駄目ですって
投げやりに呟く彼女を、俺はこっそりドライブに連れ出したこともある。この頃はもうほぼ坂崎の公認の仲となっており、周囲から結婚まで秒読みだと目されていた。
しかし一人だけそうではない者がいた。
顧問弁護士の土門だ。
坂崎は証拠の全てを土門に託していた。いわゆる共犯者であり、今では俺の“共犯者”だ。
土門には交換条件として、坂崎が捕まっても罪には問わないと取り決めた。それからは面白いように証拠が手に入り、上司からも「これならいつでもいける」と太鼓判を押されるまでに集まった。



