お前の被害者たちだって家族がいたのに、自分の娘は例外なんだな。
そんな冷めた気分にもならなかった。
──あの子には、幸せになってほしい
ああ、そうか。
これは、親が子に向ける普遍的な想いだ。
──私は妻を守れなかった、だからあの子には、必ず守ってくれる人と結婚させてやりたいんだ
世間一般からすると、坂崎の願いは古い価値観なのだろう。
しかも悪行を重ねてきた男だ。その娘となれば、末期はどんなものになるか。
全てを失い、マスコミや世間から袋叩きにされ、自分がしていないことで後ろ指を差されながら生きていくしかないのだろう。
だが、俺が捕まえなければ。
──社長、私をお呼びになったのは……お嬢様と会わせるためですか?
坂崎は軽く目を見張って、それから口角の片方を上げてみせた。
──野暮なことだ、仕事はできても色恋沙汰には疎いんだな
──大事なことです、はっきりさせておいたほうが良いでしょう



