騙すなら墓場まで




 正恵さん特製のムニエルを堪能したあと、お弁当の結末を想像するのも憂鬱で、さっさと準備をすませて寝床に潜り込んだ。

 目をつむると今日の出来事が洪水のように流れては消えていく。あの男性に、植田さん、伊月さんの知らなかった一面……。



 ──坂崎さん、お疲れ様ぁ



 跳ね起きた勢いでベッドから転がり出た。どうしてこのタイミングで思い出してしまったんだろう。

 バクバクとうるさい心臓に手を当てて、目を閉じて深呼吸を何度か繰り返した。植田さんが彼女の孫だと決めつけるのはちょっと早合点が過ぎる。

 “植田”という名字の人が、この国でどれだけいると思っているの? 珍しくもないし、たまたま被っただけの可能性のほうが高い。例えば四月一日さんとかだったら……と考え始めた時点で自分の両頬を叩いた。

 植田さんのお孫さんが警察官だと聞いたわけじゃない。でももし、お孫さんだったら……。