騙すなら墓場まで




 受付の人に声をかけ、「得留伊月にお弁当を渡したいのですが、預かっていただけますか?」と話してみた。


「まず、お名前をうかがってもよろしいでしょうか?」

「はい、得留美節と申します」


 受付にいた女性は愛想良く「少々お待ちください」と電話をかけ始めた。内戦で伊月さんがいる部署に確認を取っているんだろう。


「はい、受付です……ただいま得留美節様と仰る方がお弁当を届けに……はい、ええ、取りにいらっしゃる……」

「あの、預かってもらえるだけで良いんですが」

「申し訳ありません、こちらでいったんお預かりさせて……」


 わがままだと思いながら要望を伝える。今日は伊月さんと会話ができる気がしなかった。


「え、ちょっとお待ちください……!」


 女性は焦って立ち上がる。耳から離した受話器を呆然と見つめだした。


「あの、何かありました?」

「……すぐに向かうと、切られました」