騙すなら墓場まで




 同時にここにスープジャーがあったんだなとスプーンを動かしながら考える。正恵さんに任せっぱなしで何も知らないんだよな私。

 伊月さんからすれば、知る必要なんてないのだろう。

 だとして、彼女は知っていたのかもしれない。

 心のどこかで止めようと思うのに、手も口も食事を続けるのに、あの女性と伊月さんの関係についてぐるぐる思考の迷路にはまってしまう。

 伊月さんと彼女はきっと好き合っていたのに、伊月さんはお父さんや私への意趣返しを優先した。そのために生きていたと言っても過言じゃない。

 そのせいで、二人は引き裂かれた。


「奥様、カレーとサラダ詰め終わりました!」

「ありがとうございます」


 私は空の食器を正恵さんに預け、スープジャーやお弁当箱が入ったバッグを受け取った。


「すみません、場所も教えていただけますか……?」


 妻だというのに夫の職場も知らないなんて。無意識に目を床に向けながら小声になる。