騙すなら墓場まで




 お父さんの裁判が長引いているのは知っていた。被害者団体の弁護士さんから定期的に連絡がきていたから。

 訴えようとしている人が続々と出てきて、現場が混乱していると。


「……手紙を送ったことなんて無かったのに」


 お父さんが逮捕されて真実を知ったその日から、連絡を取ろうとは思わなかった。

 苦しんできた人たちの全てを、さらに踏みにじるような気がして。


「お父様は、お嬢様をずっと案じていらっしゃいました」


 土門さんは封筒を私の目の前に置き直し、萩野さんは私の手をそっと握った。

 鼻の奥がツンとして、視界が歪みそうになる。


「土門さん、ありがとうございました……本当に……」


 私はしっかり顔を上げて、土門さんの目を見つめた。萩野さんの手を握り返し笑顔も作ってみせた。


「お嬢様、お強くなられました……!」


 土門さんが鼻をすする。もうお嬢様じゃないと否定するのは野暮だよなぁ、と思いながら微笑みを返した。