騙すなら墓場まで




 キリの良いところで本を閉じて、今度はテレビを点ける。とたんに賑やかな声が流れてきて、画面では芸能人が楽しそうにキャンプ用品の紹介をしている。情報番組のようだ。


『空気を入れるだけでテントが張れるんですねぇ』

『なんだかおもちゃを組み立てているみたいな感じです』

『確かに、こういう家のおもちゃありそうですね!』


 わいわいとスタジオの人たちが騒ぐ中、今度は料理道具がアップで映される。


『わぁ! 本格的!』

『お値段もお手頃価格ですね!』


 キャンプか。

 一度だけでもいいからやってみたいと、お父さんにお願いしてみたことがある。

 危ないからいけないと言われてしまったけれど、伊月さんはこっそりとドライブに連れ出してくれたっけ。


「さすがに泊まりは無理ですが」

「十分です。ありがとうございます」


 あの頃はまだ婚約をしてなかったけれど、いつもこっそりと私に優しくしてくれた。