騙すなら墓場まで




 今日も正恵さんのご飯を食べて、ピカピカの部屋でぼんやり過ごす。テレビを見るか本を読むだけで外出もしない。

 ……お婆ちゃんにでもなったような気分。

 伊月さんに外出させてほしいと頼むのはためらわれた。



 ──あの人は復讐のために私を娶った。



 仇の願いなんてどうして聞いてくれるだろう。そもそも彼との会話は必要最低限で、このレジデンスにやってきた次の日にメモと一緒にクレジットカードがテーブルに置かれていた。

 無駄遣いはしないように、としっかりした筆致で書かれていて、正恵さんは怒って電話しようとした。


「お金さえ与えておけば満足だろうって言ってるようなもんじゃないですか!?」

「ほら、あれですよ。女の人って何かと入り用ですから」


 正恵さんを宥め、私はわけがわからないままカードを手に取る。これでは仇敵に対する扱いではなく囲われ者のそれだ。

 元お嬢様だから、愛人のような扱いは耐えられないだろうということ?