騙すなら墓場まで




 すすり泣きが混じった声でクビだと宣告されても、私はそっちのほうが気になってしょうがなかった。


「……わかりました。失礼します」

「正式な書類は郵送しますから」


 申し訳ない。それだけ言うと相手は電話を切った。私も終了ボタンをタップして施設長に向き直る。


「あの、契約分のお仕事はさせていただきますので」

「ああ、それなんだけど」


 施設長は目を逸らした。無理もない、こんなことが起こるとは思わず悩んでいるんだろう。


「その……もう働いてくれる人がいて、ついさっき来てるんだ」

「もう来てる……?」


 私は呆然とおうむ返しで呟いた。いくら何でも早くはないだろうか?


「それから、坂崎さんに迎えが来てる」

「迎え?」


 展開のスピードについていけないところに、今度はいるはずのない迎えが来た。迎えに来てくれる人なんて私にはもういないのに。