あなたはきっと心配するだろうからと、決まってすぐ私に連絡してくれた。彼女には感謝してもしきれない。
「会社も綺麗になって働きやすくなったと聞いています」
彼女とは連絡だけに留めてはいる。だけど本音を言うなら会って話したい。現実的には犯罪者の娘と富豪の娘がそんなことは到底できないし、連絡を取り合っているだけでも奇跡のようなものだ。
「……彼女とは今でも仲が良いんだな」
伊月さんの言葉に背中から冷や汗が流れた。しゃべり過ぎてしまったと気づいたときにはもう遅い。
「いいえ、彼女とはそれきりです」
口からはスルッとでまかせが飛び出てきた。この人にはそんな小手先の小細工は通じないと知りながら。
伊月さんは私の嘘をどう捉えたのか、組んでいた腕を解いてドアを開けた。それだけじゃない。
「なんだ、出ないのか」
「……ありがとうございます」



