騙すなら墓場まで




 三日間も看病してくれた伊月さんを見ても嫌悪感を一つも感じなかったのだし、ジャージ姿でも素敵だと思うのかもしれない。

 取り留めのないことを考えていると、伊月さんが耳元で囁いた。


「これでもうどうしたって離してやれない」

「望むところです」


 どこかで何かがズレているような気がしたけれど、別に良いかと思う。むしろ離さないでいてほしかった。


「必ず幸せにする」

「そうじゃなくて、一緒に幸せになりましょう」


 特に伊月さんには今までの分、もっと幸せになってほしい。一緒にお出かけして、食事をして、眠って、お互いを少しずつでも知っていけるなら理想だ。

 カレーが好きなのはわかったから、今度は好きな飲み物や趣味や場所を知りたい。結婚式が終わったら聞いてみよう。


「私、今でも十分に幸せですよ」

「君は欲がなさ過ぎる」


 伊月さんが薄く笑う気配がした。