「後遺症もないみたいで安心した」
萩野さんは座りながら私に笑いかけた。私の身に何が起きたのかを彼女が知ったのは退院後で、「お見舞いに行きたかった」と遊びにきてくれたときにこぼしていた。
結婚式を今度こそ挙げようと決めた日から、萩野さんはレジデンスを訪れるようになった。
洗いざらい白状してしまってからは、伊月さんが呼んでもかまわないと許してくれたのだ。
「この間も検査に行ってきたんだけど、異常はないからもう通院の必要はありませんって」
「本当に良かったわね、頭の怪我は怖いから」
萩野さんは「それで」と少し言いにくそうに話しを続ける。
「犯人はどうなったの……?」
「全員ちゃんと捕まったんだけど……」
「だけど?」
「私が民事で訴えるつもりはないって伝えると、否認してたのに一斉に認めたの」
「え」
萩野さんがポカンとした顔になる。私も似たような反応になった。



